翻訳が難しいのは重々承知、だけれど…





どうしても最後には愚痴になっちゃうはずだし、ツイートを重ねるのも嫌だし、ブログに書くようなことでもないし、Tumblrもこういう用途には向かないし、でもどこかに吐き出したいし…ということで、ここは一度、お気に入りの Simplenoteを使ってみよう。


中国語に限らず、英語でも、翻訳された台詞が、自分の解釈や受け止め方と合わないことはよくあるし、違っているのは当たり前のこと。
「さすが、翻訳家さん!」とプロの実力に感動することも実に多いのだけれど、首を傾げたくなることもやっぱり多い。



さて、ただいま放送中の『蘭陵王』。
吹き替えのみのこのドラマ、声の印象が中国語の時と全く違うのに大きな違和感を覚えたのに加え(特に四爺=蘭陵王の声にはもっと迫力が欲しい…)、どうにも引っかかる日本語の数々。

「なれど」「されど」など、日本の時代劇みたいな言葉の中に混じる「きみ」という二人称とか…。
「なれど」「されど」なら「そなた」にでもした方が落ち着くんですけど…。

でも、ちらちら見るたびに、最も引っかかるのは「言う」を「ゆう」と発音するところだったりしないでもない。
これって、今の日本の映像作品で使われる日本語としては、もしかして普通なんですか??


そして翻訳の方ですが…。
これがまた、「うーーん」となる部分が山積(^^;


女媧廟での四爺の誓いの言葉。

「此生只愛楊雪舞一個人」
  →「生涯愛し抜くことを誓います」

勿論 間違ってはいないんだけど、この言葉のポイントは「楊雪舞ただひとり」を生涯愛し抜く、というところのはず。
この後も何度も四爺は、愛するのは「楊雪舞ただひとり」と口にするんだから。



それから、邙山での戦いの後、自分が育った家で雪舞と過ごした夜、母親について雪舞に語る四爺のシーン。

「所以我決定。這種事情絕對不會發生在我的身上。
 我一定要善待我的妻子、不能讓她步我娘的後塵。」

 →「ゆえに決めた。父上と同じ道は歩まぬと。
   妻を大切にする、つらい思いはさせぬと」

これも確かにそうなんだけど、ここは「不能讓她步我娘的後塵」つまり、四爺は決して自分の妻には母親と同じ思いはさせない、ことを決意してるんですよね…。
「つらい思いはさせぬ」では、残念ながらそこが伝わり切らない。



母親と同じ思いはさせない、という彼の気持ちは、正妃選びの時、わざと怪我をして蘭陵王府に戻った鄭兒との会話にも現れてくるんですが、ここも翻訳だと伝わってこない。

「陛下のご命には逆らえぬ。
 それでも陛下に申し上げる。
 心には雪舞しかおらぬと。
 妃を選べは雪舞が苦しむ。」

ここは元は
「長恭知道 君命不可違。
 我想在選妃那天稟明皇上,
 長恭心裡只有楊雪舞一人。
 我也不願意雪舞與人共侍一夫。」

単に「妃を選べは雪舞が苦しむ」ではなく「我也不願意雪舞與人共侍一夫」なんですよね。
これは父・高澄にとって大勢の女性の中のひとりに過ぎなかった四爺の母親と同じ目に雪舞を遭わせたくないという四爺の結婚観・夫婦観にも繋がるものだと思うんですが…。


ちなみに、この時、心優しい四爺、鄭兒に「你得不到你應該得到的幸福。」(吹き替えでは「なれど私はその妃を愛することはできぬ」になってたけど…)と言ってあげたりしてるんですが、聞く耳ってものをまるっきり持ってませんからね、彼女。


でも、この鄭兒とのやり取り、四爺の台詞が可愛いので、実はお気に入り(笑)

「她的身影就是在我心裡面形影不離 揮之不去。
 我晚上做夢也是她,醒來我就想見到她,
 我喜歡聽著她 喊我四爺,喜歡她跟我無理取鬧。
 我拿她一點辦法都沒有。
 我為何會愛上如此…
 如此這樣一個 不受我控制的楊雪舞來折磨我自己,
 我也不知道。」

そうなのね、夢に見るのも雪舞、目覚めたら目覚めたですぐに彼女に会いたくなる、
自分を「四爺」って呼ぶ彼女の声を聞くのが好きで、彼女に振り回されるのも楽しい、
そうなのね〜(笑)

まぁ、こんなこと言ってたくせに、結婚後、雪舞にきっついこと(日本語で聞くと 一層 きつく感じましたが…)言うようになるもんなんですね ┐('~`;)┌
「本王是王爺! 就算真想有三妻四妾,你也不能怎麼樣!」とか、見ながら「雪舞、蹴っ飛ばしてやれ」と思いましたもん。



まだまだあります。
現地放送時に、とても感動してTwitterでもつぶやいた曉冬の台詞。

「夫人對我來說 就像這天上的月亮。
 在我人生最灰暗的時候 照耀我 溫暖我… 
 我當然喜歡她… 
 可是讓我更開心的是四爺娶了她。
 四爺是多麼優秀的男人,他們倆在一起… 真般配。
 小翠,你放心。
 我絕對不會妄想去摘下月亮。那叫不自量力。
 可是我絕對不會讓月亮被烏雲遮蔽。」

ここが

「俺にとって雪舞は空に浮かぶ月だ。
 人生の暗闇にいた俺を照らして暖めてくれた。
 好きになるさ。
 なれど殿下が現れて、嬉しかったんだ。
 天下一の男が雪舞と結ばれた。お似合いだよ。
 小翠、安心しろ。
 俺は絶対に月をとりはしない。当たり前だろ。
 暗い雲で月を隠すつもりも俺にはない。」

曉冬が雪舞を呼び捨てにしたことはなかったはず、っていうのはこの際 置いといて(「雪舞姑娘」→「夫人」)、特に気になったのは最後の部分。

「可是我絕對不會讓月亮被烏雲遮蔽」
  →「暗い雲で月を隠すつもりも俺にはない」

私には吹き替えでの曉冬の言葉は、自分がいることで雪舞に迷惑をかけるようなことはしない、だから彼女の傍を離れる、そういう意味合いに感じられてしまいました。
でもこの「可是我絕對不會讓月亮被烏雲遮蔽」は曉冬の 自分(と雪舞)への誓いの言葉みたいなものだと思う。
と 同時に、このたった一言で韓曉冬という人物像をクリアに描き出す、そんな曉冬にとってとても大切な台詞だと。
ここでいう「烏雲(暗い雲)」っていうのは鄭兒をはじめ、雪舞を傷つけたり、苦しめたりする人間のことで、そんな連中に絶対に彼女を傷つけさせるつもりはない、そういう意味じゃないのかな…。
実際、この後の曉冬は、この言葉通り、彼女を守るために、雪舞を傷つける人たちの前にひたすらに立ちはだかり続けるんだから。
たとえその相手が四爺であっても…。



そして、鄭兒の掌でいいように躍らされて、バカップルからただのアホの子に成り果てていた(失礼…)四爺が正気を取り戻した後。

雪舞に傷の手当てをしてもらいながら、

「すまない。
 わたしのせいだ。きみを危険な目に合わせてしまった。
 鄭兒があれほどひどい女子(おなご)だとは思いもしなかったのだ。
 君を深く傷つけてしまった。」

などと言ってましたが、「えっ、悪いのは鄭兒だけなん? 不可抗力? 四爺、そうなん?? 自分のことは思いっきり棚の上に放り投げるん??!」と派手にツッコミ入れそうになりました。

本来は

「對不起。
 你離開後 我才知道你為我冒了多大的險。
 才知道鄭兒是如何傷害你。
 才知道… 我是傷害你最深的人。 」

彼女を一番 傷つけたのは、他の誰でもない、自分だ、そのことに彼女が行ってしまってから、ようやく気付いた(それも士深のおかげで、だけどね、四爺)と明言してるんですけどね。



まだまだあるものの、さすがに列挙するのも面倒になってきたので、もうお終い。
(などと言いつつ、また追加してたりして…)

それぞれちょっとしたニュアンスの問題だとは思うのだけれど、脚本家の人たちは本当に丁寧に言葉を紡ぎ出しているんだし、やっぱり翻訳時にも もう少し丁寧に言葉を選んで欲しい。

…って、それを期待すること自体がそもそも間違っているのかもしれない、という気になる昨今の状況だけど(−−”)
うう、やっぱり愚痴になった…orz



あと、6話だったか、賤民村を焼き払う云々の場面。
楊士深が「四爺 可是那個人…」と言うのに四爺が「瘟疫不除 這個人只要待在村子裡面,也活不過七日。」と返すところ。
吹替では士深が「殿下、あの娘は…」「病が消えねば7日も経たないうちに死ぬであろう。」となってたけど、この「那個人」は周國的奸細(周の密偵)のことじゃないのかなぁ。
この時の士深、雪舞のことなんてそっちのけ、その頭の中には、須達のためにも周のスパイを見つけ出すってそのことしかなかったと思うんだけどな。