『ランドリーリスト』読書会

ACoA(Adult Children of Alcoholics)の共同創始者トニー・Aの著作『ランドリーリスト ACoAという経験』訳本のパイロット版の読書会のページです。

『ランドリーリスト』読書会は終了しました。参加された皆様ありがとうございました。

目次

  • ゴール
  • 読書会
    • スケジュール
  • リソース
  • 補足情報
    • Why 12 new steps for ACoAs by Tony A.
    • ACoA の始まりとトニー・A
    • ACoAのその後
    • トニー・Aの著作を学ぶことの意味
  • 読書会レジュメ
    • はしがき「医師の視点」
    • はじめに
    • オリジナルのランドリーリスト
    • ACoAの回復の12のステップ
    • 第一章 トニー・Aとは何者か
    • 第二章 すべてのはじまり
    • 第三章 ACoAとは何か?
      • 解決
    • 第四章 解決のプロセス
    • 第五章 回復を始めるにあたって
      • ACoAに初めて参加する人のためのガイド
      • 背負った役割をやめる
      • 成功する参加の仕方
      • あなたの家族としてのグループ
      • ACoAの回復の12ステップに取り組む
    • 第六章 結果に対する責任の重要性
    • 第七章 信仰について
    • 第八章 回復への抵抗とつまずき
    • 第九章 ACoAの回復のプログラムには効果があるのか?
    • 第十章 両親について何をすべきか
    • 第十一章 個人とグループ:得られた知恵
    • 第十二章 ACoAメンバーの体験記
    • 付録

ランドリーリスト表紙

The Laundry List: The ACoA Expereince (English Edition)

読書会のゴール

『ランドリーリスト』の読み合わせとディスカッションを通じて、その内容の理解を深め、訳文改善のフィードバックを行い、訳本を完成させることを目指します。

読書会

スケジュール

  • 第40回:2025年4月25日(金)20:30~22:00
  • 第39回:2025年4月11日(金)20:30~22:00
  • 第38回:2025年3月21日(金)20:30~22:00
  • 第37回:2025年3月7日(金)20:30~22:00
  • 第36回:2025年2月21日(金)20:30~22:00
  • 第35回:2025年2月7日(金)20:30~22:00
  • 第34回:2025年1月24日(金)20:30~22:00
  • 第33回:2025年1月10日(金)20:30~22:00
  • 第32回:2024年12月20日(金)20:30~22:00
  • 第31回:2024年12月6日(金)20:30~22:00
  • 第30回:2024年11月22日(金)20:30~22:00
  • 第29回:2024年11月8日(金)20:30~22:00
  • 第28回:2024年10月25日(金)20:30~22:00
  • 第27回:2024年10月11日(金)20:30~22:00
  • 第26回:2024年9月27日(金)20:30~22:00
  • 第25回:2024年9月6日(金)20:30~22:00
  • 第24回:2024年8月30日(金)20:30~22:00
  • 第23回:2024年8月16日(金)20:30~22:00
  • 第22回:2024年8月2日(金)20:30~22:00
  • 第21回:2024年7月26日(金)20:30~22:00
  • 第20回:2024年7月12日(金)20:30~22:00
  • 第19回:2024年6月28日(金)20:30~22:00
  • 第18回:2024年6月14日(金)20:30~22:00
  • 第17回:2024年5月17日(金)20:30~22:00
  • 第16回:2024年5月3日(金)20:30~22:00
  • 第15回:2024年4月29日(金)20:30~22:00
  • 第14回:2024年4月12日(金)20:30~22:00
  • 第13回:2024年3月15日(金)20:30~22:00
  • 第12回:2024年3月1日(金)20:30~22:00
  • 第11回:2024年2月16日(金)20:30~22:00
  • 第10回:2024年2月2日(金)20:30~22:00
  • 第9回:2024年1月19日(金)20:30~22:00
  • 第8回:2024年1月12日(金)20:30~22:00
  • 第7回:2023年12月29日(金)20:30~22:00
  • 第6回:2023年12月15日(金)20:30~22:00
  • 第5回:2023年12月8日(金)20:30~22:00
  • 第4回:2023年11月24日(金)20:30~22:00
  • 第3回:2023年11月10日(金)20:30~22:00
  • 第2回:2023年10月27日(金)20:30~22:00
  • 初回:2023年10月13日(金)20:30~21:45

リソース

今ここにはなにもありません

補足情報

Why 12 new steps for ACoAs by Tony A.

1991年2月25日にトニー・Aが行った講演 → 心の家路 wiki

ACoA の始まりとトニー・A

アラノンとはアルコホーリク(≒アルコール依存症者)の家族のためのグループです。そして、アラティーンとは親がアルコホーリクである10代の子どもたちのために、アラノンが開いているミーティングです。アラティーンの参加者は成人すると、アラノンのミーティングに移っていきます。

しかし、1977年のニューヨークで、成人する前後のアラティーン参加者たちが、自分たちのためのミーティングを始めようとしていました。彼らはアルコホーリクの配偶者であるアラノンのメンバーたちと自分たちを同じと見なすことに困難を感じており、自分たちのための特別なミーティングを必要としていました。そこで彼らは、アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリック(ACoA、アルコホーリクの親のもとで育って大人になった人たち)のためのミーティングを始めました。

そのメンバーの一人が、AAメンバーのトニー・A(Tony A., 1927-2004)の話を聞き、彼をACoAのミーティングのスピーカーに招きました。トニー自身もアルコホーリクの親のもとで育っており、子どもの頃に自分の身を守るために不適切で有害な行動パターンを身に付けたと考えていて、それについて調べていた人物でした。

それをきっかけとして、トニーはこのグループに加わりました。トニーと他のメンバーとの違いは、トニーがアルコホーリクであったことと他の人たちより30才ほど年上だったことです。共通していたのは、全員がアルコホーリクの親のもとで育って大人になったことでした。

トニーはこのグループのために「ランドリーリスト」と呼ばれる性格的特徴のリストや「解決」のオリジナル版を書き、さらにはACoAのための12ステップを作り上げました。そして、1990年にそれまでの12年間のACoAでの経験と問題やプログラムについての彼の解釈を綴った本書を出版しました(The Laundry List — The ACoA Experience, 1990, HCI)。すでに絶版になっていますが、Kindle版は1,020円で入手できます。

The Laundry List: The ACoA Expereince (English Edition)

ACoAのその後

トニーらが作ったACoAのグループはやがて全米に広がっていきましたが、それは大きく分けて三つの流れに分流していきました。

  1. アラノンに加盟したグループ(いわゆるアラノンAC)――アラノンの制約上ランドリーリストは使わなくなった。また、アルコホーリクの親のもとで育った人たちのみ。
  2. ACoAの全国組織であるACAに加盟したグループ(日本国内ではACoAと呼称している)。
  3. どちらにも加盟せず、それぞれが独立して運営されていたグループ(ACoAと呼ばれた)――正式なメンバーはアルコホーリクの親の元で育った人たちのみだが、ミーティングをオープンとして行うことでその他の人たちも受け入れた。

このうち、3番目の選択肢を選んだグループACoAが最も多かったようですが、1990年代を通じて2番目・3番目のグループは衰退していってしまうのでした。21世紀に入り、2番目のグループ(ACA、日本ではACoA)は機能不全の家庭で育った人たち(Adult Children of Dysfunctional Families、ACoD)を正式なメンバーとして受け入れ始めます。それによって拡大が始まり、世界的なグループに成長しました(略号はACA・ACoAどちらでも可とされている)。

しかし、対象を拡大したことによって問題の本質が不明瞭になったことや、グループ外部のセラピストの理論の影響を受けたことで、回復への道筋が分かりにくくなったことは否めません。

追記:ACAの12ステップはACAが1984年にAAの12ステップに忠実に作ったものですが、トニーはそれが「アダルトチルドレンの根本的なジレンマに対処できていない」と批判し、別に作り上げたのが1990年出版の『ランドリーリスト』に掲載されたACoAの12ステップです。

トニー・Aの著作を学ぶことの意味

本書の内容の特徴は、その明確さにあります。本文中にも「有効な解決方法は、問題の正確な定義からしか生れてこない」とあるように、トニーはAC(アダルトチルドレン)とは何か、ACの抱える問題とは何かを明確に定義しています。そして、そこから明確な解決方法が導き出されます。

トニーが作ったACoAのための12ステップは、標準的な12ステップとは内容が随分異なります(ACAの12ステップはトニーのものと異なりむしろ標準に回帰しています)。標準とは異なった12ステップを採用することの是非はともかくとして、なぜそのような異なった12ステップを採用する必要があったかを理解することで、ACという問題への理解が深まるでしょう。

トニーは自分が作った12ステップの特異性については強調していません。彼はむしろACoAではミーティングの内容が他の12ステップグループとは異なっていると強調しています。それが回復に大きな役割を果たしているとしています。

読書会レジュメ

はしがき「医師の視点」

  • 「私は成功や人々を神々としてきたが、それらは偽りの神々だったのだ」
  • 「私はもはや、職業上の業績や金銭などの物質的な条件で幸福を定義することはない。私は人々の気持ちを大事にしているが、彼らはもはや私の神々ではない」

オリジナルのランドリーリスト

  1. 私たちは孤立し、人や権威者を恐れるようになった。
  2. 私たちは承認を追い求め、その過程でアイデンティティを失った。
  3. 私たちは怒っている人やいかなる個人的な批判にも怯える。
  4. 私たちは病的な見捨てられ欲求を満たすために、自分がアルコホーリックになるかアルコホーリックと結婚するか、又はその両方か、あるいはワーカホリックのような強迫的な性格の人を探し当てたりする。
  5. 私たちは被害者の視点で人生を生き、恋愛や友人関係においてその弱さで惹きつけられる。
  6. 私たちは過剰な責任感を持っていて、自分よりも他人のことを気にかけるほうがたやすく、そうすることで自分自身の欠点などをよく見ないですむ。
  7. 私たちは人に譲歩しないで自己主張しようとすると罪悪感を感じる。
  8. 私たちは興奮することに嗜癖するようになった。
  9. 私たちは愛と哀れみを取り違え、「哀れんだり」「救ってあげたり」できる人を「愛する」傾向がある。
  10. 私たちはトラウマを負った子ども時代から自分の感情を「押し込めてきた」。そしてあまりにも痛いので、自分の感情を感じたり表現したりする能力を失った。(否認)
  11. 私たちは自分自身を厳しく裁き、自己評価が非常に低い。
  12. 私たちは見捨てられることを極度に恐れる依存的人格である。そして見捨てられる痛みを経験しないためには、どんなことをしてでも人間関係にしがみつこうとする。この見捨てられる痛みは、私たちにとって情緒的に関われない病んだ人たちと生活したことから受け取ったものである。
  13. アルコホリズムは家族の病気である。私たちはパラアルコホーリックになり、たとえ自分は飲まなくてもその病気の特徴を受け継いでいる。
  14. パラアルコホーリックは自ら行動する人というよりも反応する人である。

ACoAの回復の12のステップ

(略)

第一章 トニー・Aとは何者か

  • トニー・A(Tony A.)1927年11月4日生れ。
    • 1977年にニューヨークでACのグループに加わったときには49才か50才。
    • 2004年4月に77才で亡くなった(BRB p.xxxi)
    • 第一章の最後(p.20)に「恐れに基づく人格(a fear-based personality)になった」と書かれており、第一章全体が、彼の子どもの頃に起こったことによって恐れに基づくパーソナリティを持つべく条件付けられた、という説明になっている。
    • トニーはアルコホーリックであるが、第一章ではそのことには触れていない。
  • p.13 - 14の前半
    • 父も母もアルコホーリックである
    • 1才の時にアルコホーリックの叔父が自分の子守中に自殺した  →大きな音に怯える
    • 2才の時に母親が死亡  →自分が悪いことをしたので母は二度と戻ってこなくなったのだ
    • すぐに父が再婚
  • p.14後半 - 15の前半
    • 父親による身体的虐待のエピソード、翌朝そのことを思い出せない父  →自分は話題にできないほど酷いことをしてしまったのだ  →罪悪感 guilty、見捨てられ感 abandoned、権威ある人々 authority figures を恐れる
    • 継母による虐待  →怒っている態度の悪い女性が苦手
  • p.15後半 - 16の前半
    • 父親と祖母の親子関係  →罪悪感と恥の意識 shame  →自分も出来損ないである (sense of shame 恥の意識は、BRB ではなぜか自己否定感と訳されている)
    • 祖母の自殺  →安堵した自分への罪悪感
  • p.16後半 - 17の前半
    • ユダヤ人であること(反ユダヤ主義
    • 改姓(ユダヤ姓を捨てる)  →自分自身の血筋への否定
  • p.17後半 - 19の先頭
    • 全寮制の学校へ、友人が自分の秘密を暴露することへの恐れ  →嗜癖的行動の始まり(物質とギャンブル)
    • 努力で称賛を勝ち取る(共依存 戦略① cf. ビッグブックのスタディ (94)
    • 大学ではキリスト教徒だとする  →欺瞞と孤独
    • 父親のアルコホリズムの悪化  →頼まれて施設に連れて行ったのに非難される(養育の混乱と恐怖の象徴)
    • 他の人に自分を受けれてもらうことが他の人たちとの関係における自分の主要なテーマになった(パラアルコホリズム・共依存)
  • p.19
    • 半分ユダヤ人であることの公開と人々の反応  →自分の恐れが自分の考えと行動を歪めている
    • 女性に対して  →喜ばせる者 people-pleaser → 操作する者 manipulator → 見捨てる者 abandoner  →自分の感じる恐れや罪悪感を避けるのが目的
  • p.20
    • ACoAのメンバーの分かち合いを聞く  →自分の恥の意識、恐れ、罪悪感という感情と向き合うようになった
    • 子どもの頃に起こったことによって恐れに基づくパーソナリティを持つようになった
  • 補足 感情と向き合う(トニーの場合は恥の意識・恐れ・罪悪感)
    • そうした感情を自分が持っていることを自覚する(否定しない)
    • そうした感情は子どもの頃に起きたことの影響だという認識
    • そうした感情が自分の現在の考えと行動に負の影響を及ぼしていることへの認識
    • そうした感情を自分の力(理性)では克服できないでいる(無力)の認識

第二章 すべてのはじまり

  • アダルトチルドレン概念の発生
    • アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリックという言葉が、いつごろ、どこで誕生したのかは明らかではないが、AC概念にとって重要なコ・アルコホーリックという言葉は1970年代初頭のセルフヘルプ文献の中に登場するという(小西真理子『共依存の倫理』2017,32)ので、ACoAという言葉もほぼ同時であろう。
    • ちなみにアダルトチャイルド(adult child)やアダルトチルドレン(adult children)という言葉は「成人した子ども」という一般的な意味の言葉であり、その人が問題を抱えていることを意味しない。したがって、本文中では adult children of alcoholic または ACoA と表記されているが、それを毎回アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリックと日本語で表記すると長ったらしいので、単にアダルトチルドレンとした。
  • p.21
    • アラノン(Al-anon)=アルコホーリックの家族や友人たちのグループ。したがって、アルコホーリックの配偶者だけでなく、親や子どもも含まれるが、現実には配偶者(特に妻)が多い。
    • コ・アルコホーリック=つまり家族の中にいるアルコホーリックの特徴を自らも獲得してしまった人(共依存者)
    • アラティーン=アルコホーリックの親を持つティーンのためのグループ(アラノンの一部)→成人するとアラノン(大人のグループ)に移る
    • アルコホーリックの配偶者はコ・アルホーリックになりがち=アル中であるお父さんも困ったものだけれど、お母さんも似たようなもの
    • コ・アルコホーリクである親を象徴する人たちと一緒にミーシングをやるのは勘弁してほしい
    • 自分たちは子ども時代に不健康なサバイバル技術を身に付けた(問題意識)
    • 別のグループを作りたい(ニーズ)
  • p.22
    • 1977年、ニューヨークで最初のミーティングを開き、アラノンに登録した
    • 名前は Adult Children of Alcoholics (アルコホーリックの成人した子どもたち)グループ (1973年からアラノンはACのグループの登録を受け付け始めていた)
    • アルコホーリックであるトニー・A(両親がアルコホーリックでもある)がアラノンに招かれて話をし、自分が子ども時代に身に付けた破壊的な態度について話した。それを聞いたシンディというメンバーが、彼に自分たちのグループで話をして欲しいと頼んだ。
    • トニーはそのグループで話をし、現在の自分の問題のほとんどは、幼少期の家庭の混乱にさかのぼることができると分かち合った
    • 自分の有害な性格特性を詳細に説明した
  • p.23 前半
    • 彼らの話を聞いたトニーは、このグループに加わった
    • しかし、自身がアルコホーリックであるトニーは、他のACメンバーにとって彼らの父親を象徴していた
      • → ACグループがアラノンから離脱した理由を、再現してしまう
      • → アルコホーリック本人がACグループに加わることの問題点
  • p.23 後半~p.24前半
    • 目標も手段も分からない
    • 人数が少ない
    • 目的はあるホーリックの家で育ったことによる感情的な問題から解放されたい
    • 権威者を恐れる傾向があるため(ランドリーリスト1)、専門家を頼れない――自分の回復には自分が責任を持たなければならない
    • 感情を安全に分かち合える場が必要
    • ミーティングの形式はAAなどから借りたもの――初期のメンバーの大部分は他の12ステップグループのメンバーでもあった
  • p.24 後半~p.25
    • ミーティングではアルコホーリックの家で育った生い立ちを話すように求められた
    • 動揺したり泣いたりして、誰もが不安定な気持ちになった
    • そこで、分かち合いの内容を制限しようとしたが、どうしても怒りや苦悩が持ち出された
    • ミーティングの終わりには、感情を落ち着かせる努力が必要だった
    • それでもメンバーは安全で理解のある環境を体験していた
    • しかし、強すぎる感情から通常のレベルの交流に戻るのは難しかった
    • やがてメンバー数がさらに減ってしまい、存続が危ぶまれた → 目的と方向性を求めてもがく
  • p.26
    • トニーは、AAのミーティングをまわり、アルコホーリックの家庭で育った人たちにACのミーティングに来てくれるように頼んだ
    • 次のミーティングには17人のAAメンバーがやってきた
    • 次第にメンバーが増えていった
    • 前述の問題はあったものの、初期のACoAはアルコホーリック本人の参加なしに成り立たないというジレンマを抱えていた
    • 人数は増えたが、相変わらず目的と方向性は見いだせていない
  • p.27
    • ACの問題に焦点を当てた書籍はまだなかった
    • プログラムに具体性がないことへの不満が爆発
    • いつ爆発が起きるかわからない予測不可能な虐待を受ける家庭で育った人々にとって、具体的な指示と確実性が重要
  • p.28
    • トニーがランドリーリストを書いた――14項目 →「問題」と呼ばれる
    • さらに「解決」について書いた (おそらく現在ACoAが使っている「解決」とは別のもの)
      • AAとアラノンのスローガンや全般的な原則を大いに参考にさせてもらった
      • ミーティングに頻繁に参加すること
      • 自分自身に焦点を当て続けること
      • 自分の感情を感じること(そしてそれを言葉にすること)
      • AAのステップに取り組むこと
    • これらが私たちが回復のために使える主な道具であると提案した
    • ACoAの12ステップはAAの12ステップに忠実に1984年に作られた トニーはその12ステップはACのジレンマに対処できていないと考えて、別のバージョンを作った→本書
  • p.29
    • それをミーティングで読み上げると、誰がそれをランドリーリストと呼んだ
    • アラノン側からアラノン以外の書籍を使うならアラノンと認めることはできない、加盟を解消
  • p.30
    • アラノンとの対話を続ける →結果としてアラノンに残ったグループも多かった
    • 1978年から79年にはアメリカのあちこちでミーティングが始まった
    • ジャック・Eというメンバーが西海岸でグループを広め、認知度を上げていった
    • トニーはリーダーとしての役割を下りた

第三章 ACoAとは何か?

  • ACoAとは何か?
    • ACoAはアルコホリズムによって損なわれた家庭で育った男女が経験する問題に直接語りかける共同体である。
    • アルコホリズムの環境で育つことにより、人はアルコホリズムの特徴の多くを直接受け継ぐことになる。
    • 子どもたちは、なんとか生き延びようとする過程で、一時的にでも身を守ることができる一連の防衛手段を身に付ける。
      • 過度の警戒、深い不信、感情表現能力の欠如、抑うつ、権威者への恐れ、出来事や人々をコントロールしたいという強い欲求といった防衛手段は、アルコホーリックの親を持つ子どもたちが大人になっても持ち続けている生存戦略のほんの一部にすぎない。
    • 家庭の中での争いがどんな種類のものであれ、それは子どもに感情的ストレスを与えた。悲劇は、そのストレスや傷や苦悩が排出されずにいたことである。
    • 私たちの多くは、失われ、押し込まれ、怯えた自分を噴出させる機会に恵まれなかった。
    • ACは独立した自己を確立することができなかった。
      • 親密で相互に育み合う関係を築くことにかなりの困難がある。
      • 私たちの否定的な自己価値観を作ったのは、事実上私たちの両親や他の家族たちであった。
    • ACoAの焦点は、再建、変化、癒やし、養育――さらには、人生の問題に対処するための古くて役に立たなくなった方法を捨てる意欲に当てられている。
    • この病気〔アルコホリズム〕の特徴と、それが私たちの人生に依然として強力な影響を与え続けている仕組みについて学ぶことで、私たちは変化のプロセスを始めることができる。
    • 最も効果的に変化をもたらすには、関連する問題への集中的な暴露と、その問題に対して健全で賢明な行動を適用するための一貫した努力を必要とする。
    • プログラムは、人を裁くことをやめ、学ぶ意欲を持ち、他者に心を開き、幼い頃の痛みを再体験し、具体的で有益な行動をとり、この回復プロセスと霊的[スピリチュアル]な道に対する信頼を育てるように促してくれる。
  • ACoAはどのように効果をもたらすのか
    • 始めに取り組むべき主なことは、
      • ミーティングに参加してこの病気〔アルコホリズムという家族の病気〕の本質についてよく知ること
      • 常に他の人と分かち合うことを学ぶこと
      • そしてニューカマーが回復を始めるために取るべきいくつかの行動を身に付けること
    • 私たちは皆、多くの共通点を持っているが、具体的な行動様式は様々である
      • 人生にアプローチし、コントロールし、反応する方法が様々に異なっていても、その方法にはいくつかの共通点がある。それについては「問題/解決」の中で詳しく説明してある。
    • 私たち全員がオープンに分かち合える安全で支持的な環境が非常に重要である
      • 子どもの頃に厳しい検閲を受けていたために、自分の本当の感情を打ち明けたり、表現したりすることに恐ろしさを感じている
    • 四つの原則:
      • 私たちも両親と同じように、アルコホリズムという病気の無力な犠牲者だった。
      • 安全で愛情あふれる環境で他の人たちと協力することで、この病気〔アルコホリズム〕がどのように現在でも私たちに影響を与え続けているかの理解を新たに得ることができる。
      • ACoAでは、自分の内側に焦点が当てられ、苦痛に満ちた子ども時代を再体験することになる。私たちのほとんどは、私たちに影響を与えた苦悩と混乱を感情的に再訪しなければならない。
      • ACoAは霊性に基盤を置いた回復プログラムである。メンバーは、回復を助ける力として、自分自身よりも大きな力に目を向けるよう求められる。
  • 私たちは何者か
    • アダルトチルドレン・オブ・アルコホーリックとは、家族全員に影響を及ぼすアルコホリズムという病気の犠牲者である。
    • アルコホーリクの家庭においては、感情の力学は概して破壊的である。
    • 何年にもわたってそのような混乱にさらされたせいで、ACの自発性と脆弱性は硬直した防御によって脇に押しやられてしまう。
      • 脆弱性(vulnerability・バルネラビリティ)を良いもの、ACが取り戻すべきものとして扱っていることに留意。ACは傷ついたり惨めな思いをしないために、自らの感情を奧に押し込め、なかったことにしてしまうが、傷ついたり惨めになることは、人として自然な、あるべき姿である、ということ。
    • ACは、自らをこの病気のなかに閉じ込める禁止命令を学ぶ。その命令をクラウディア・ブラックは次の三つで表現した:
      • 話すな
      • 信頼するな
      • 感じるな
    • これら三つがACのサバイバル技術の中核である。家族ドラマがコントールできる範囲を超えたとき、こうしたテクニックを何度も繰り返し使って身に付けた。そして、それが人生に対する信念となった。アルコホーリックの家を離れても、それが維持されている。
  • 私たちの問題の本質
    • ACoAプログラムは、私たちの自己破壊的な行動を理解し、受け入れ、最終的にはそれを変えることに焦点を当てている。
      • 感情を押し込めてしまい、表現できない。
      • 見捨てられたり、拒絶されたときの感情を避けるために、とことん努力をする。
      • 孤立し、人を、特に権威者を恐れる。
      • 人を喜ばせるように行動し、その過程でアイデンティティ[自分らしさ]を失っている。
      • 自分のために立ち上がろう[自己主張しよう]とすると罪悪感を持つ。
      • 行動するよりも反応する。
    • 多くのアダルトチルドレンが「被害者の視点」に立って生き、同じような生き方をする人たちに惹かれる傾向がある
    • 回復のプロセスには(その一部として)他の人の分かち合いを通して、さらにやがては自分もその分かち合いに加わることを通して、自分自身を見いだすことが含まれる。
      • AAでいうところのアイデンティフィケーション(自分も同じだという認識)
    • 長年にわたって、セルフヘルプ・プログラムに携わる人たちは、有効な解決方法は、問題の正確な定義からしか生れてこないと言い続けてきた。
      • ランドリーリストは問題の本質をかなり性格に描写しているようだ。
        • AAのステップ1も問題の正確な定義を試み、問題の由来を「体質」に求めている
        • ACoAのステップでは、ランドリーリストで定義を試み、その由来をアルコホリズムという家族全体の病気に求めている
        • CoDAのステップ1のように、問題の特徴のみを記し、由来に言及しないものもある
  • 感情
    • 感情は良いものでも悪いものでもないが、しかし感情を十分に経験することがACの回復のプロセスには不可欠である
    • ほとんどの回復プログラム[他のセルフヘルプ・グループ]が「ミーティングに参加することで気分が良くなる」という前提で運営されているのに対し、ACoAではむしろ、ミーティングに行くと、そこで私たちは[仲間の分かち合う]強い感情にさらされるために、気分が悪くなることが多い
    • アルコホーリックの家族は(ACも含めて)、自分が何者であるかに恥を感じ、自分がしたことに罪悪感を憶える
    • 自分自身について感じていることや、自分自身をどう認識しているかが、必ずしも正確ではない
    • 問題の一つは、明らかに強い感情を奥へと押し込んで、無視する能力
    • 「黙って座って、荒れ狂う辛い気持ちを味わうのは嫌だった。私はまだ自分の感情から逃れようとし、感情を鈍らせようとしていた。私は癒しのプロセスに抵抗した。なぜなら、それは私が成長するあいだに教えられたすべてとあまりにも違っていたからだ」
  • 回復のプロセス
    • 回復とはプロセスである。多くの場合、痛みを伴い、時間がかかり、混乱し、何よりもイライラする。
    • 回復は本質的に自己発見と自己受容の手段であり、その究極の目標は自己愛である。
    • この目的のために、ACoAの回復プログラムの主な焦点は[自分自身の]内側に向けられている
    • このプログラムは、ACに、恐れ、見捨てられ、拒絶、怒り、自己憐憫、悲しみといった辛い感情を開放して経験するよう求める。
    • ほとんどのアダルトチルドレンが最初はこのアプローチに抵抗する。私たちは長年にわたって自分の感情を奥へ押し込んできたので、突然両手を広げて感情を歓迎するようになるはずがない。
    • 私たちの病気と、それがいかに何度も何度も私たちを繰り返し打ち負かしてきたかを認識することが、個人の回復には欠かせない。
    • 初期の回復は、一般に次のようなパターンを辿る:
      • この病気〔アルコホリズム〕が私たちに与えた様々な影響について自覚が芽生える。
      • 長い間埋もれていた感情が表面化し、幼少期のつらい記憶がよみがえる。
      • 健康な子ども時代を奪われたことに対する強い怒りや悲しみを認識する。
      • 深い怒りとやがて起きる悲しみを経験しようとする意欲——通常そうした経験は、無垢な子どもであった私たちが、どのようにネグレクトされ、虐待されたかについてのより完全な理解をももたらす。
    • 抑えの効かない怒りや悲しみを経験することが回復の過程における不可欠な一歩なのである。
    • 怒り、抑うつ、見捨てられなどの恐ろしくて脅威的な感情に対して自分をさらすことが非常に重要だ。痛みや傷のどのような要素が心の表面に現れてきても、一緒に座ってそれを経験することが不可欠なのである。
  • ACODA 問題
  • ACA 問題

解決

from ACODAミーティングハンドブック p.4

  • ミーティングに定期的に参加することによって、もっと意味のある生き方ができることがわかってきた。
  • 私たちは自分の態度や行動の習慣の、古いバターンを変えるようになってきた。心の落ち着きを、さらには幸せを感じるようになった。
  • アディクションは、精神、身体、霊性の三重の病気である。私たちの親は、この、死または狂気に至る病気の犠牲者だった。このことを知ることが、自分を自由にする第一歩だった。
  • 私たちは自分に関心を向け、自分を満たすことを学んだ。
  • 私たちは感情を意識し、受け入れ、表現すること、そして自己評価を高めることを学んだ。
  • 私たちは回復のブログラムとして提示された12のステップ使った。ステップを踏むことを通じて、私たちは「アディクション」や「機能不全」を理解し、自分の生活がどうにもならなくなっていること、機能不全の影響に対して無力であることを受け入れるようになった。
  • 私たちは「平安の祈り」を使った。「今日一日」「手を放してハイヤーバワーにまかせる」「気楽にやろう」などのスローガンを使った。
  • 自分の短所や病んだ考え方を認められるようになるにつれて、態度を変え、反応を行動に変えていけるようになった。自分自身以外による解決があることが、つまり自分より大きな力があることわかってきた。私たちは経験を分かち合い、他の人たちと関わり、新しく来た人を歓迎し、グループのサービスをすることによって、自己肯定感が身についてきた。
  • 私たちは愛しつつ愛着から離れることを学んだ。
  • 私たちは自分を愛するようになった。そのことによって、他の人たちをもっと健康的な仕方で愛するようになった。

『ランドリーリスト』ではトニー・Aが書いた「解決」に言及しているが、その内容は現在のACoAが使っている「ACAの解決」とは明らかに違っている(第二章の「問題/解決」を参照)。しかし、トニーの書いたものを探しても見つからない。ACODAの使っている「解決」がトニーのものに近いのかもしれない、という説が出てきた。 * ACA 解決

第四章 解決のプロセス

  • 家族ドラマ
    • 多くの場合、アルコホーリックの家庭は正常に機能しているように見える。これは、精巧な否認のシステムによって、この病気の真の力が隠されているからだ。アルコホーリックの家庭の子どもたちは、健康的な養育のロールモデルを奪われているために、毎日目にする病的な行動パターンを身に付けることになる。
  • 親は子どもをどう定義するか
    • 私たちは、この重要な初期の数年間に、最も基本的な性格特性や行動パターンを数多く身につける。
  • 私たちの共通した行動:ランドリーリストを再検討する
    • 私が書き留めたオリジナルの14の特徴のうち、八つか九つが自分にもあると同定できないアダルトチルドレンも滅多にいないだろう。
    1. 私たちは孤立し、人や権威者を恐れるようになった。
    2. 私たちは承認を追い求め、その過程でアイデンティティを失った。
    3. 私たちは怒っている人やいかなる個人的な批判にも怯える。
    4. 私たちは病的な見捨てられ欲求を満たすために、自分がアルコール依存症になるかアルコール依存症者と結婚するか、又はその両方か、あるいはワーカホリックのような強迫的な性格の人を探し当てたりする。
    5. 私たちは被害者の視点で人生を生き、恋愛や友人関係においてその弱さで引きつけられる。
    6. 私たちは過剰な責任感を持っていて、自分よりも他人のことを気にかけるほうがたやすく、そうすることで自分自身の欠点などをよく見ないですむ。
    7. 私たちは人に譲歩しないで自己主張しようとすると罪悪感を感じる。
    8. 私たちは興奮することに嗜癖(しへき)するようになった。
    9. 私たちは愛と哀れみを取り違え、「哀れんだり」「救ってあげたり」できる人を「愛する」傾向がある。
    10. 私たちはトラウマを負った子ども時代から自分の感情を「押し込めてきた」。そしてあまりにも痛いので、自分の感情を感じたり表現したりする能力を失った。(否認)
    11. 私たちは自分自身を厳しく裁き、自己評価が非常に低い。
    12. 私たちは見捨てられることを極度に恐れる依存的人格である。そして見捨てられる痛みを経験しないためにはどんなことをしてでも人間関係にしがみつこうとする。この見捨てられる痛みは、私たちにとって情緒的に関われない病んだ人たちと生活したことから受け取ったものである。
    13. アルコホリズムは家族の病気である。私たちはパラアルコホーリックになり、たとえ自分は飲まなくてもその病気の特徴を受け継いでいる。
    14. パラアルコホーリックは、自ら行動する人というよりも反応する人である。
  • 参考:もう一つのランドリーリスト(ACoAのBRB巻末より)
    1. 私たちは人への恐れと孤立への不安を覆い隠すため、悲惨にも他ならぬ権威者そのものとなって他者を怖がらせ遠ざける。
    2. 私たちは人に巻き込まれ、その過程で自分を見失うのを避けるためにかたくなに自己充足的となる。そして他者からの承認を蔑視する。
    3. 私たちは怒りと批判の脅威で人を怖がらせる。
    4. 私たちは他者を支配し、他者が私たちを見捨てる前にこちらから見捨てるか依存的な人との関係をことごとく断つ。私たちは傷つくのを避けるために孤立し、そのことにより自分自身を見捨てる。
    5. 私たちは加害者の立場で人生を生き、重要な人間関係において操作できコントロールできる相手に惹きつけられる。
    6. 私たちは無責任で自己中心的である。私たちの肥大化した自己価値観は自分の欠陥と短所を見るのを妨げる。
    7. 私たちは他者が自己主張しようとするとき、彼らに罪悪感を感じさせる。
    8. 私たちは無感覚かつ麻痺状態になることで恐れを感じないようにする。
    9. 私たちは、犠牲者を「演じ」救ってほしいと懇願する人たちを憎悪する。
    10. 私たちは傷ついてきたことを否定し、「ニセ」の感情をドラマチックに表現することにより自分の感情を抑圧している。
    11. 私たちは家族を「救え」なかったことの自罰感情から身を守るために、他者に自分への憎悪を投影して他者を罰する。
    12. 私たちは私たちの「自立」を脅かす人間関係(あまり近づかれるのは困る)を急いで手放すことで、家族に見捨てられた途方もない喪失感を「どうにかする(manage)」。
    13. 私たちは家族の機能不全によって影響を受けてきたこと、家庭に機能不全が存在したこと、あるいは家族の破壊的態度や行動を内在化したことのいずれをも認めようとしない。
    14. 私たちは自分を育てた依存的な人たちとは全く別物であるかのように振るまう。
  • 私たちを待ち構えているもの
    • 辛い感情を経験しないためにアルコールや薬物を使っている状態では、ACoAのプログラムによって回復を得ることは難しい。嗜癖とは言えない大量消費のレベルであっても、感情を麻痺させることで回復を難しくする。
    • 適切な飲酒や医薬品の適正使用を非難するつもりはないが、ACはアルコールや薬物、その他の過食や浪費や不適切な性関係などの強迫的行動に陥りやすい。
    • ACは子どもの頃から痛みの伴う感情や解決できない問題からの逃避を身に付けてきた。それがアルコールや薬物に向かわせる理由になる。
    • 個人の生活にはほとんど影響を与えないレベルであったとしても、ACの場合には将来的に破壊的な行動につながる可能性がある。

第五章 回復を始めるにあたって

  • アルコホーリックの家庭で育った人の回復の方法は数多くある。ACoAの回復プログラムはその方法の一つではあるが、唯一の方法というわけではない。であるものの、非常に有益なものであると確信している。

ACoAに初めて参加する人のためのガイド

  • ミーティングに参加する
    • ミーティングのフォーマット
      • 誰かが「ランドリーリスト」と「解決」を読み上げる。
      • メンバーの一人が、その人の子ども時代の経験を分かち合い、それらの経験がその人の大人としての生活にどんな感情的な困難を引き起こしたかを説明する。多くの場合、話し手はそのあとで、自分が変化し成長するためにどのような行動をとったかを分かち合う。
      • グループのメンバーが自らの意志で分かち合いを行うオープンなセッション
    • 分かち合い――分かち合いするかどうかは、常にその人の選択である
    • 文献――アルコホリズムという病気について、そしてそれが自分にどのような影響を与えたかを学ぶことが、回復初期の欠かすことのできない課題である
    • 真剣な取り組み――定期的にミーティングに参加することが重要

背負った役割をやめる

  • シャロン・ウェグシャイダー=クルーズの四つの役割
    • ヒーロー〔主人公〕
    • ロスト・チャイルド〔忘れられた子・迷子〕
    • スケープゴート〔しょく罪のヤギ〕
    • マスコット
  • ほとんどの人は、これらの役割のうちの一つかそれ以上に自分が当てはまることに気がつくはずだ

成功する参加の仕方

  • 信頼し、感じ、分かち合うことを学ぶ
    • 「この家で起こっていることを誰にも話してはならない」というルールを破っていく
    • 自らの子ども時代の病んだ状態を理解し、受け入れる
    • 自分が両親に対して大きな怒りを抱いているという現実を受け入れなければならない
  • 権威ある人たちに対する私たちの態度を変える
    • 病んだ両親は、私たちにとって最初の権威者だった
    • 今になっても権威のマントを着けた人々と接するときにあの時の不安や硬直が不適切によみがえってしまう。私たちはそのことに対処しなければならない
    • 敵意や不信という姿勢 or 恐れや従順という姿勢
  • グループを自分の新しい家族として受け入れる
    • 彼らは私の原家族の一員ではないのだから、私が彼らを裁いたり、攻撃したり、脅かされたりするのは不適切だと、常に自分に言い聞かせなくてはならなかった
  • 友だちを作る
    • ACは、しばしば芽生えつつある友情をコントロールし、管理しようとする
    • 少なくとも異性愛者にとっては、最初の友情の努力は同性に向けるのが最善
    • 友情を育むにはある程度の無防備さも必要
    • 孤立のなかで成長と変化が起こることは滅多にない。それらは交流〔の相互作用〕からもたらされる。多くのニューカマーにとっては難しいことであろうが、グループに加わり、友人を作り、自分の感情を分かち合い、アフター・ミーティングの話し合いに応じ、早く到着してメンバーとおしゃべりすることを私は強く薦める。
  • 裁くことと恨みに対処する
    • 非難や糾弾を口に出すことは避けるようにする
    • 裁く=周囲の人を批判的に査定する
    • 裁くことや恨みから完全に解放された人はいないものの、私たちはそれらに食い尽くされることは避けねばならない。

あなたの家族としてのグループ

  • 分かち合いをしている時に、しばしば、怒りや落ち込み、不寛容、恐れといった幼い頃の感情の多くを再体験することがあった。
  • 回復していく中で、私は自分が愛すべき人間であり、ただオープンで寛容でありたいと思っていることを発見した。より高いレベルでは、私が恐れを抱いていないときにのみ、愛が私を通して流れることができることを理解するようになった。

ACoAの回復の12ステップに取り組む

  • 文字通り何百万人もの人々にとって、12ステップの概念は、多くのアディクションや強迫性疾患や脅迫的行動からの回復に重要な役割を果たしてきた。ステップは過去の傷を取り除くことを助けてくれ、自己理解、自己受容、自己愛、そして問題や不安のある世界を生きるなかで心の平安を得る手助けをしてくれる。自己認識と変化はゆっくりとか起こらず、しかも時には大きな犠牲も必要とする。自分の破壊的な行動がどのように自分を傷つけるのか、その原因や原因を知ることによって、自己理解が大きく前進する。
  1. 私たちはアルコホリズムと一緒に暮らした影響に対して無力であり、思いどおりに生きていけなくなったことを認めた。
  2. 私たちは自分を超えた大きな力が私たちに明晰性をもたらしてくれると信じるようになった。
  3. 私たちは自己愛を実践することと自分なりに理解したハイヤー・パワーを信頼する決心をした。
  4. 私たちは徹底して非難せずに自分の両親の棚卸しをした、なぜなら突き詰めると自分自身も親たちと同じになったからである。
  5. 私たちはハイヤー・パワーに対し、自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の子ども時代の見捨てられの正確な本質を認めた。
  6. 私たちはハイヤー・パワーの助けを得ながらの癒やしの作業を始める準備が完全にできた。
  7. 私たちは癒やしの作業を手助けして下さいと謙虚に神に求めた。
  8. 私たちはハイヤー・パワーの無条件の愛を受け取れるように自分自身を開く意欲をもった。
  9. 私たちはハイヤー・パワーに無条件で愛されていることを理解することで、自分自身の無条件の愛を受け入れる意欲を持った。
  10. 私たちは自分自身の棚卸しと、自分を愛し、認めることを続けた。
  11. 私たちは祈りと黙想を通してハイヤー・パワーとの意識的な触れ合いを深め、その意志を知ることと、それを実践する力だけを求めた。
  12. 私たちはこれらのステップに取り組んだ結果、私たちは霊的に目覚め、自分を愛することと私たちのすべてのことにこの原理を実行することを続けた。

トニー・Aの1991年2月25日の講演の翻訳も参照しながら:

  • ステップ1
    • 「アルコホリズムと一緒に暮らした影響」とはランドリーリストのこと
    • 私たちは、この病気〔アルコホリズム〕の破壊的な特性の多くを受け継いでいる。
    • =パラ・アルコホーリックである
    • トニーの12ステップ全体が、自分が親と同じになったことを認めるためのもの
  • ステップ2
    • 「戻してくれる」とはかつて持っていた者を取り戻すことだが、ACoAの育った家庭には取り戻すべき「正気」はなかった。→ restore されるのではなく、もたらしてもらう。
    • 明晰性(clarity)=「明晰性とは、視界が明瞭であること、はっきりと見えることを意味します」
  • ステップ3
    • 「霊性の意味は、子供が全能性という観念を親から神へと移す時に、自己意識の中で成長する。そして、そのような子供の霊的体験の全体は、その親子関係が恐れと愛のどちらによって支配されているかに大きく依存する」(The Urantia Book,_ P1013:6, 92:7.7)
    • ACにとって「自分なりに理解した神」はすでに存在する。それは両親である。その両親に「意志と生き方をゆだねる」ステップ3はACには無理である。
    • したがって、どんなに困難であろうとも、まずは「神」を信頼することから始めなければならない。
  • ステップ4
    • 「多くのアダルトチルドレンが、人生の早い段階で「自分は決して親たちのようにはならない」と誓ったのに、後になって気がつくと、自分の行動パターンと人間関係はほぼ両親の丸写しになっていることを理解した、と私に語ってくれた。多くのアダルトチルドレンを惑わせているのは、自分の人生は、経済的に、教育的に、雇用面で、あるいは社会的構造の点で、両親とは異なっているのだから、論理的に「自分が親のようであるはずがない」という誤った考えである」
    • 両親の棚卸しをすることを通じて、自分が親と同じになっていることを理解していく。
  • ステップ5
    • ACoAは両親から見捨てられて(abandonded)いるが、自分で自分を見捨ててもいる。
    • 幼い頃に、自らの無邪気さ(innocence)や自発性を、両親の病んだ行動パターンで置き換えてしまった(それが自分を見捨てたと言うこと)
  • ステップ6
    • 自分より偉大な力に頼る準備をする。
    • 「癒やしはしばしば信仰や信じることによってもたらされる」
    • 癒やしのプロセスの一部は、自分を傷つける生き方にしがみついたことで、どれだけ自分が苦しんできたかを認識することである。
  • ステップ7
    • 謙虚さと関与することの両方が必要
    • 謙虚さ――自分が実際にはこの宇宙の支配者ではないこと
    • 邪魔になる三つの状態
      1. 自分は十分に成熟しており、正気であり、自分の人生を適切に導くことができると信じてしまう
      2. 自我があまりに肥大していて、自分のしていることがむしろ問題を長引かせていることに気づいていない
      3. この癒しのプロセスを始めるための具体的なステップや行動について、本当の知識も理解も持っていない
    • 自分なりに理解した霊的な力に助けを求めることなしに回復は難しい
    • 関与すること(commitment)
      • いつでもハイヤー・パワーとグループのメンバーに呼びかけて、手助けと導きを提供してもらうことができる
        • 自分で「何をすれば良いか」を決めるのではなく、何をすべきかは「提供される」
        • 自分が提供された「手段」をやる準備を整える(ある種の「受動性」)
    • 多くの人の過ちは、いつ、何をするかを自分で決めてしまうこと。
  • ステップ8
    • かつて両親は加害者で、私たちは被害者だった。だが、両親を自分の内面に取り込んだことで、私たちは自分自身に対する加害者となり、自己嫌悪と自己批判しか自分に与えられなくなった。
    • ハイヤー・パワーはどのような自分であれ無条件で愛してくれる。私たちはただそれを迎え入れるだけで良い。
  • ステップ9
    • ハイヤー・パワーから与えられた無条件の愛と受容を、自分自身に(内なる子どもに)与える。
    • 自分自身に愛を与えられるようになると、他の人にも愛を与えられるようになり、また他の人からの愛も受け取れるようになる。
  • ステップ10
    • 変化は自分の内側から始めなければならない。
    • ハイヤー・パワーに助けを求めることも、グループにサポートを求めることもできる。
    • 成長と変化のためには、自分が何者であり、今日は何をしているかを調べる警戒態勢を敷かねばならない。
  • ステップ11
    • 「私はいつも自分のために、その穴を、何かの人、場所、物で埋めてきました。そして、もし私がその感情〔見捨てられたという感情〕を感じることを自分自身に許し、空っぽのままでいることができれば、この空白をスピリットで埋めることができます。そしてその過程で、『神よ、どうか私から私を取り除いて空にして、あなたで私を満たしてください』が実現するのです」
  • ステップ12
    • 「成すべきことは、そこにあるということ(the way to do, was to be)」
    • 「アルコホーリクス・アノニマスでは、自分が何になれるかの前に、何をしなければならないかを教えられました。何か違うものになるためには、自分の行動を変えなければなりませんでした」
    • 「ACoAムーブメントは、自分が何者であるかを学ばなければならない、と教えてくれます。言い換えれば、私に何ができるかの前に、私にはそこにあらねばならないのです」

第六章 結果に対する責任の重要性

  • 私たちの問題を特定する
    • あなただけのランドリーリスト
      • ランドリーリストの中から 「しょっちゅう、あるいは継続的にトラブルを引き起こしていると思われる項目」 「ときどきしか起きないが、人生を楽しむ上で大きな妨げになっている項目」 を選んでリストを作る
      • 強迫的な過食、浪費、不適切な飲酒行動、万引き、友人関係の突然の遮断、友人や親戚に対する強迫的な嘘、リスクの高い性行動などを追加する
      • 両親の棚卸しを行なうことでさらなる問題点や特徴が明らかになる
      • 問題を明確にすることで初めて解決が可能になる(→p.44)
      • 一日の終わりの取り組み
    • 自覚
      • 自分だけのランドリーリストを作ることで、自分の問題の本質と、それがどの程度問題や動揺を引き起こしているかを十分に理解する
    • 日誌
      • 目標を書き出し、毎日見直すことで、自分の問題を新鮮なものにすることができる
  • 回復の目標を設定する
    • 回復の目標を立て、それを達成するためにどうすればよいかを考えて、紙に書き出すことが回復を加速させる
  • その他の一般的な問題
    • コントロール
      • アダルトチルドレンにとって、他の人の行動や、環境、あらゆる状況をコントロールしようと努力することが、しばしば問題となる。
    • 批判
      • 他の人たちに対する批判的で否定的な評価も非常に破壊的だ。
    • 膨れあがった自己意識
      • 10代の前半、私は一種の防御的な尊大さ、つまり偽りの優越感の姿勢を身に付けた。私はそれらを、自分が脅かされそうな社会的状況にいることに気づいたとき、または特別に注目されたいという要求が満たされないときに使った。
    • 不寛容
      • 変化に対してオープンで寛容であるためには、手放して降伏することが必要になる。
    • アドバイスをする
      • 起きている時間の多くを、他人にアドバイスや指導、指示を与えることに費やしている人たち
      • 私がアラノンで学んだことの一つは、最悪の悪癖(バイス)はアドバイスである、というものだ
  • 周囲から協力を得る
    • ACoAにいる誰もが、他の人に助けてもらうのは簡単ではない
  • スポンサーシップ
  • 専門家の助けを得る

第七章 信仰について

  • ハイヤー・パワーという概念
    • ハイヤー・パワーという概念は、アダルトチャイルドという生い立ちを持つ人たちにとって、ときに非常に悩ましいものになり得る。ハイヤー・パワーの概念に対して、受容的なスタンスを取れるようなれるまでにはかなりの時間が必要だろう。
    • 私は「長年の認識を脇に置いて、可能性に対して自分を開け」という提案を受けた
  • 祈り
  • 黙想
    • 多くの人は聞くことよりも話すことを好むので、黙想が請願の祈りよりも人気がなさそうなのは驚くべきことではない。

第八章 回復への抵抗とつまずき

  • 私は回復に長く、そして懸命に取り組んできたからこそ、自分が「回復していない」ことを知っている。私の経験では、回復とは、より深い認識をもたらしてくれる、ずっと続く上りの螺旋階段なのだ。なので、ある一定の期間内に回復を成し遂げることを期待すると、ひどく失望することになるだろう。
  • ACoAグループという環境でメンバーがどのように機能するかは、その人が生活の他の領域でどのように機能しているかを明確に表わしている。
  • 一人でやろうとする
    • 多くのACoAがそうであるように、私の人生にも回復を助けてくれる人間という存在が必要だった。私は独立独歩という孤立した態度を放棄しなければならなかった。私は、分かち合い、他の人を信頼し、同じだと気づき、感じる必要があった。私は、他の人々を通じて、また彼らとの協力関係の中で、自分の病気について学んだ。私は一人では回復できないし、一人で回復できるという人もあまり知らない。
  • 気が向いたときだけ
    • 私たちは、安全で支持的な環境の中で、つらい瞬間を体験し、また再体験もするようにしている。ただ通り過ぎるだけの人は、このような取り組みから実質的な利益を得るのに十分な時間、じっと座ったり、注意を払っていることはないだろう。
  • 即効薬を求める
    • 私の問題は本当に根深く、私の新しい洞察にはなかなか屈してくれなかった。それを癒すには、新しい行動と新しい姿勢が必要なのだが、そのどちらも私には数ヶ月で身に付けられるものではなかった。
  • 分かち合い、打ち明ける意欲を持たない
    • それは、一人ではできないことであるし、また沈黙していてもできないことである。私たちはこの〔回復の〕プロセスを信頼し、それに身を委ね、沈黙に退かないようにすれば良い。
  • 自分の抱える問題に集中できずコースから外れてしまう
    • ACoAには避けて通れない本質的なプロセスがある。メンバーはそれぞれに自分自身の正確な問題のリストを作らねばならない。その次に、何を達成したいのか、どのように進めるのかを明確にして、いくつかの回復目標を決める必要がある。ハイヤー・パワーが舵を握ってくれているが、漕ぐのはあなただということを忘れてはならない。
  • 「ACoAの回復のための12ステップ」を避ける
    • ステップへの取り組みの大部分は孤独な作業だ。メンバーの中には、ステップワークという一風変わったやり方よりも、ミーティングやメンバー同士の交流のもたらす興奮や挑戦を好む人もいる。だが、自分自身に焦点を当て続けることが不可欠であり、ステップはそれを可能にしてくれる。
  • 完璧主義
    • 私のアダルトチャイルドとしての課題である完璧主義も、自分が傷つかず、受け入れられ、愛されるように、外の世界をコントロールしようとすることから生じている。
  • インスタントな関係
    • アダルトチルドレンは、ほとんどの場合、この新しいロマンスにおいても、幼少期の愛着関係の古いドラマを再現してしまう。・・・残念なことに、多くのアダルトチルドレンは近親相姦的な関係に目覚め、それを別のものに転換させようと試みているにすぎない。
  • 他の人を治そうとすること
    • ACoAのメンバーの中には、人にアドバイスをしたり、人を治そうとしたりすることが、呼吸をするように自然なことだと思う人たちがいる。
    • 他者を治すことは、その人に名声や地位やコントロールをもたらす。
  • 否認と非難
    • 他人のせいにすることは、回復する責任から注意を逸らすためによく使われる手段だ。例えば、繰り返し私にトラブルをもたらしている問題を両親のせいにすることに私のすべての感情的エネルギーを費やしていれば、私は自分の回復に取り組む必要性が見えなくなってしまう。

第九章 ACoAの回復のプログラムには効果があるのか?

  • 私は本当に変わったのか?
    • 回復はスペクトラム〔グラデーション〕として存在していると考えている。その一方の端は「事実上何の変化もない」であり、もう一方の端は「深い実質的な変化」である。ACoAプログラムの結果は、このスペクトラムのどこにでもなり得る。
    • 表面的な、あるいはうわべだけの変化は比較的容易であり、アダルトチルドレンはいつもそれを行っている。
    • だから私は新しい人たちに、コントロール、不安、怒りなどの分野ですぐに回復が得られることを期待しないようにと助言している。
    • ACoAにおいては、変化は、自分の行動だけでなく、自分の反応も変えようとすることから生まれる。
  • 回復とは何か?
    • 私たちがいかにそれを否定しようが、あるいは私たちがどれほど人生に成功しようが、ほとんどの回復していないアダルトチルドレンは、自分がうまく機能できていないことを痛感している
  • 内なる傷ついた子どもにとっての健全な親となる
    • 私はこの失われた子どもの負った傷と恥をすべて再体験し、それを自分のものとし、その子を解放してあげる必要があった。

第十章 両親について何をすべきか

  • 家族のソープオペラ〔陳腐なドラマ〕
    • 幼い頃、両親は私たちに我が家のソープオペラの役柄を割り当てた。私たちには、指示された役柄について選択の余地はなく、その役柄が合わないように思えたり、明らかに破滅的だったとしても、私たちにそれを拒否する権利は決して与えられなかった。
    • 家庭の中の病気が深刻化するにつれて、その病気は拡大し、全員が悪影響を受けていった。無力な子どもとして、私たちはその病気の特徴を身につけた。必要に迫られて、また自分が生き残るために、私たちは家族のドラマに修正を加えた。私たちは家族の病気に対して罪悪感と恥の意識を経験し始めた。
    • 両親の飲酒やその他の破壊的行動に対して、自分には全く責任がないことがわからなかった。その責任はまさに彼らのものだ。私たちが両親のアルコホリズムを引き起こしたわけでもないし、それをコントロールすることもできない(コントロールしようとしてみたけれど!)、もちろん治療することもできない。
    • ACoAで私は大人として、人生の初期の台本を書き換えることができる。まず、私が子ども時代に両親の利益のために演じた役割が病的なものであったことを認識し理解する必要がある。さらには、もし私が大人になってもその役割を演じ続け、そのような行動を繰り返すのであれば、それは私をより病ませるだけだろう。
  • 私たちの個人的な怒りと悲しみ
    • この人間としての個性を奪われるプロセスの一部として、私たちは怒りや抵抗の気持ちを奥へ押し込める必要があった。
    • 私は、自分の奥底のどこかに、虐待され、無価値にされたことに対する怒りが溶けて固まった玉を作り上げた。
    • 私は、すべてのアダルトチルドレンと虐待された子どもたちのなかに、この怒りの核があると考えている。
    • この怒りの玉がどのように作られたかは人によって異なる。だが、私たちのほとんどすべてはこの玉を持っていて、回復の過程でそれに取り組む必要がある。
  • 癒しのための提案
    • 私たちは・・・、それを認識し、そして許すというたった二つの段階しかない道へと入りこんでしまいがちだ。しかしながら、アダルトチルドレンはそのやり方ではうまくいかなかったことを繰り返し分かち合ってきた。
    • 押し込まれた怒りは〔心の奥に〕蓄積されたままだった。失われた子ども時代を嘆き悲しむことは、独りよがりや〔注目を集めるためのわざとらしい〕芝居にすぎないとみなされてきた。
    • だがACoAは、人が許しの段階に達するためには、その前に必ず取り組まなければならない中心的な課題があると主張している。私たちはこの段階を理性的に、あるいは知性的に処理して通過することはできず、その激しさをすべて経験しなければならない。怒りと自己憐憫(れんびん)という巨大な井戸を掘り起こして表面化させ、公然とそれを体験する必要がある。
    • すべてのアダルトチルドレンは取り組まなければならない苦痛を詰め込んだ巨大な貯蔵庫を抱えており、〔その中身は〕整然と整頓されてもいないし、わずかでもない、という私の言葉を信じてほしい。
    • ACoAのミーティングは、私たちがこうした強力な感情を体験し、表現し始めることができる、安全で、安心できる支持的な環境を提供してくれる。
    • それは新しい人生への通過儀礼だ。このプロセスを恐れる必要はない。自分自身にも、他の人にも、それを促そう。怒りを表現するときは他の人たちに配慮するようにするが、もっと重要なのは、怒りや悲しみを抑圧したり、自分から切り離してしまわないことだ。
  • 両親と向き合う
    • アダルトチルドレンの中には、自分の気持ちを親に伝えることが不可欠だと感じている人たちもいる。
    • 両親はおそらく、起こったことに対するあなたの解釈や見解には同意しないだろう。
    • おそらく両親はあなたが望むようには反応しないだろう——つまり、すべてを認め、謝罪し、許しを請うことはない。
    • おそらく両親のあなたへの接し方はどこまでも変わらないだろう。
    • 多くの対立は、ピリピリとした疑い深い休戦に落ち着くものである。
    • 多くの場合、アダルトチルドレンが本当に望んでいるのは、両親が突然、彼らの病気のためになりえなかった愛情深く、養育的で、繊細な親に変身することである。このような一連の出来事が起こるためには、アダルトチルドレンの側の理解と受容が必要である。家庭内ソープオペラ〔陳腐なドラマ〕のなかで唯一変えられる要素は、私たち自身であり、私たちがどのように振る舞うかの選択である。
  • 感情の面で家を離れる
    • 私はグループのあるメンバーが、虐待を受けた母親と経済的な理由でまだ一緒に暮らしていることを何カ月も嘆き続けたことを思い出す。そしてついに、彼女は引っ越して自分のアパートを借りたと私たちに教えてくれた。その半年後、彼女の越したアパートが同じ建物の母親の真下の部屋であることがわかった。
  • 両親を許す
    • 私は両親を許すためには、まず自分自身を許すことから始めなければならなかった。
    • 私は両親とは全く違う人生の道を進もうとし、決して両親のようにならない努力をしてきたつもりだったが、まさにそうなってしまった。
    • 私は両親とは全く違う人生の道を進もうとし、決して両親のようにならない努力をしてきたつもりだったが、まさにそうなってしまった。…私はストレスの多い状況に置かれると、常に両親の機能不全的な行動を自分が繰り返していたことを理解しなければならない。
    • すべてのアダルトチルドレンは、両親を許すことが自分への評価を高める方法であることを理解する必要がある。それは癒しのプロセスにおいて不可欠な要素なのだ。

第十一章 個人とグループ:得られた知恵

  • グループの良心
    • すべての12ステップの回復プログラムと同様に、ACoAも民主的なプロセスを採用するように努めている。
  • 金銭の問題
  • 推奨されるミーティング進行
    • 標準的な進行形式
      • まず一人のスピーカーが20分から30分かけて自らのストーリーを語った後、1時間オープン・ディスカッションをする
    • ビギナーズ・ミーティング
  • 加盟
    • 全国的な組織との関係を維持することを選ぶグループもある。それは、ACAとアラノンの二つである
  • ミーティングの人数
    • 人数が多すぎることへのもう一つの対処策は、スピーカーの話が終わったら、すぐに小さなディスカッションのグループに分割することだ。8人から10人のディスカッション・グループであれば、全員が、特に多くの聴衆の前では分かち合うことが困難な人でも分かち合うことができる。
  • 無名性
  • 新しいACoAグループを始める

第十二章 ACoAメンバーの体験記

  • イブリンの物語
  • ジェニーの物語
  • フランクの物語
  • メアリー・リーの物語
  • いずれの物語も、自分がいかに親の元で成長する過程で「親と同じになっていったか」を描写している。一方で、なにをやったことで回復したかについては詳しく説明していない。

付録

  • 資源
  • 推薦図書

(おしまい)

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