2021 下半期 面白かったマンガ
今期は質量ともにニッコリ。
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「好きな子がめがねを忘れた 8巻」藤近小梅
三重さんは小村が「おっきくなった」って言ってて、確かに小村は内面的にも外面的にも成長したけど、基本的な姿勢はわりと一貫していると思うんだよね。対して三重さんは意識の変化が大きいように感じられる。最初のころの三重さんは茫漠と世界と混ざり合う子供みたいな人だったと思うんだけど、今の三重さんは意識的に世界とかかわりあう少女に見える。自身と対象の位置関係が明確化された上での言動が増えたというか。そうした変化を最も良く伝えているのは花火を見上げながらの一言なわけだけど。
細かく丁寧に積み上げられてきたエピソードの上に現在の二人がいる。そう思うと二人の一挙手一投足にいちいち胸をつかまれるようで、おれなんか目が潤みっぱなしですよ。小村が口ごもってしまうシーンは、以前なら笑うトコだったけど今は小村の歯がゆさに胸を締め付けられるような気持ちになる。でも大丈夫。小村の女神にはフワフワでくるくるのきれいな後ろ髪があるから。
小村と三重さんの間で緊張感が高まってるせいか、コメディ要素は三重パパとまほちゃんに託された感があって二人ともいい仕事してた。
ビジュアル的にも今や三重さんは美しい少女に見える。 夏休み明け久々に制服の三重さんが大人っぽくてビビる。小村の髪を拭いてる三重さんの足きれい。表情はいちいち良い。笑顔とか、伏し目がちになる時とかどれもイイ。小村が「スイカ」って言った時の三重さんの表情の動きに胸をつかまれた。「冗談だよ」のドヤ顔があんまり見ない表情でカワイイ。
絵面は統一された質感の線で構成されていてきれい。こういう統一感は繊細な内容を繊細に伝えることに貢献しているように感じる。
三重さんは水着(特装版のカラー)も浴衣(メガネが良く合う)も素敵だったけど、個人的にはワンピースの胸の刺繍がかわいくて裸眼の三重さんによく似合ってたと思う。まあでもハイライトは甚平の小村かな。浴衣の三重さんを見てびっくりした表情が良い。きっと三重さんも満足。そして花火を見てるときの笑顔。めっちゃ良い笑顔。これは本作を読んでる乙女の息の根を止めに来てるでしょ。乙女の皆さん無事ですかー?息してますかー?
個人的には、2021 は本作の充実ぶりが印象に残った。
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「うちの息子はたぶんゲイ 4巻」 おくら
#浩希の失恋について読み誤っていたので追記します。
#作家の意図は下記のインタビューを参照。リンク切れてたらゴメン。
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https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_63f5f29ee4b0616708de8ba4
#読み誤った理由だけど、本作を読む際に必要以上にメッセージを求め過ぎたのと、
#他属性の感覚を想像することの難しさかなと考えてます。
#下記の文章は初出時のまま(誤ったまま)なので、インタビューと読み比べてみて。(20230325)
特別な関係は 1 つじゃない。確かにそうだと思う。でもそれを理屈においても感情においても飲み込めというのは厳しいなあと。いやもう飲み込むしかないんだろうけど。
成長って自発的にする場合とせざるを得ない場合があると思うんだけど(前者は高揚感や充足感を。後者は痛みや悲しみを伴うイメージ。)、浩希はこの件に限らずときどき大人になることを強いられているようにも見えて、そんなシーンは胸が痛む。
でも、浩希は痛みに打ちひしがれてうずくまっているような人間じゃなくて。久しぶりに遊びに来た醍吾からスッと視線を移す浩希の表情から感じられるのは、悲しみだけじゃないと思うんだよね。
痛みを乗り越えて、屈託が無くて裏表がなくて人好きのする浩希は真にタフで魅力的な人物と言っていいんじゃないかな。明日実ちゃんは慧眼ですよホント。。
そして醍吾の気持ちだよね。浩希に伝わってると思って良い?良いよね。おれはそう思う!
絵は相変わらずイイ。人体は男性でも女性でもどんな服の時でも安定的にきれい。表情の良さは磨きがかかってる。先に挙げた浩希の表情はホント良かったし、それ以外でも浩希はグッと来る表情がたくさんあった。浩希以外では、醍吾と部長の話を浩希から聞いている時の母さんはなんとなく泣いているように見えて切なさが感じられたし、「言わないよ」と応える表情は意思を感じた。73話の明日実ちゃんは小さい頃も素敵だし、今の姿めっちゃ美しい。
母さんと遠野さんのやり取りとか、結理と浩希のやり取りとか、母さんと明日実ちゃんのやり取りとか、醍吾の回想とか、外周部から浩希を描いていて、それらの中心に立つ浩希がその表情や挙動によって外周部を裏付ける構成が上手いと思った。
外周からなのは今までもそうだったんだけど(浩希が自分で語らないからね)、本巻は全体を貫くテーマがあったので、テーマを追う手法として効果がより明確に感じられた。
社会的なイシューをピックアップしつつ、同時に個のドラマも例のないレベルで実現しているのはホント凄いと思う。一コマ一コマ絵を見る楽しみもあるし、おれが今期読んだ作品の中では最も完成度の高い一冊だった。
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「僕の心のヤバイやつ 5」 桜井のりお
みなさんこんにちわー!。 (顔の周りで両手を広げて)僕ヤバおじさんだよ。
5 巻も面白かったね。みんなもう読んだかな?。そしたら恋愛工学 4 級の資格を持つおじさんが二人のハートを解き明かして行くよー。
ゴメン。。このキャラ中止して良い?。思い付きで始めたけどちょっとキツいわ。。人は自分(のキャラや気持ち)を偽って生きることはできない。そうだよね?京ちゃん。
京太郎に衝動的な行動をとらせる感情が「ヤバイやつ」ってのは解釈の一つとしてあるかなと思うんだけど(恋愛感情そのものって解釈のほうが素直かなとは思う。まあ地続きなんだけど。)、久しぶりに京太郎のヤバイやつが登場した気がする。最初のころは保健室に走ったり自転車投げたりしてたけど、基本的にはコミュニケーションと理解を重んじる内容だったと思うんだよね。本巻ではその上で、京太郎の感情が衝動的に表れたように見える。"コミュニケーション&理解" と "気持ち" のフィードバックに納得感があって、山田の不安と切なさ、京太郎のこみ上げる感情に胸を突かれる。
コメディ要素は相変わらず面白いシーンが満載だったけど、先生の「山田・・・とか」が地味にメッチャ面白かった。先生は京太郎と山田のセンシティブな関係について自分の認識が当事者生徒に伝わることに躊躇しつつも、結局言っちゃったwwみたいな。京太郎に対する近しさが感じられるよね。
編み込みおさげは今まで見た山田の髪型の中で一番かわいかった(今まで見た山田の中で一番怖かったけど)。でもツイヤバまとめ読んだときは美人はショートに限るなって思いました。そしてクッション抱いて泣いてる京ちゃんかわいすぎ。あとハイライトシーンは背景のカーテンがシルキーな質感で描かれていて良い演出だと思った。
ラブコメは進展するかしないかが話題になってきたと思うんだけど(意図的に進展させない作品は別として)、最近は進展の質を争うレベルになっててスゲーなと思う。個人的には、本作はそうした作品群の中でも先頭を引く作品の一つに見える。
(おじさん再び)じゃーねーヤババーイ!
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「潮が舞い子が舞い 6」阿部共実
真鈴バーグマン様
私はあなたの話を聞いていると居心地の悪さを感じます。ある種のコンテンツはそれ自体が世界で、そうしたコンテンツについて何か書くことは、あなたが否定する "世界を雑に言語化する行為" そのものだからです。この文章がまさにそれですね。でも少し言い訳をさせてください。コンテンツについて何か書くということは、世界を言語化するだけではなく、世界を受け取った自分を言語化するということでもあります。
「自身を雑に言語化していないと言い切れますか。こぼれ落ちたものがないと言い切れますか。」とあなたは言うかもしれません。言い切れないでしょうね。でも雑さを排除できるよう努力はしているつもりです。例えば早すぎる言語化は最悪です。何度も作品世界に触れ、放置し、やがて言葉がわいてくるのを待ちます。でもまあ程度問題ですね。私が自分を正当化する試みはうまくいきそうにありません。
そもそも、作品世界に限らず私たちを取り巻く世界を世界のまま受け止めることは難しいと感じます。そこには言語化というアウトプットの問題以前にインプットの問題があり、インプットの質は非常に支配的です。世界を感じるがままいることはあなたには容易かもしれませんが私には難しい。あなたがスタジオでメンテナンスされ今日でも稼働し続ける優秀なアナログレコーダーだとすれば、私は世界を低レートでビット列に変換したあげくデータを非可逆に圧縮する安物のデジタルレコーダーです。でも昔は私にもできたような気がします。
あなたは価値や意味なんて求めないだろうと思いますが、それでも。私たちを取り巻く世界を世界のまま感じ取れることには価値があると思います。たとえ世界が美しくなくたって。
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「はじめての諏訪さん 1巻」「はじめての諏訪さん 2巻」 真沼靖佳
1巻は上半期のリリース。おれが読んだのが下半期だったので。
ラブコメ界には心のガードが高すぎて拗らせる男子もいれば、心がノーガードな男子もいて。ヤマナカはノーガードな方。なので諏訪さんはヤマナカをいいように小突き回してるんだけど、小突き回し過ぎたせいでヤマナカが剣道部行っちゃたりするあたり可笑しい。
諏訪さんの言動はこの年代の女の子のそれをかなりうまく再現しているように見えて、既視感のようなものを感じた。
諏訪さんの行動原理って自分がヤマナカを楽しむことと、二人で一緒に何か楽しむ事と、ヤマナカに期待することが混ざっているように見える。それらは行動になった時に一貫性が無くて、ヤマナカからはかなり謎に見えるのかなと思った(ちなみに、1 巻を読んだ時点では、彼女の中では一貫性があるんだろうと予想してたんだけどね。。)。
そういう男子から見た女子の謎人格が乙女と呼ばれるのかなと。加えて "告白したからと言って全てを許容つもりは無い" という少女らしいスクエアさも感じられて、さらに乙女感が増してるように思う。
2 巻は学外イベントがメインで、リアル中学生女子感はやや後退してストレートなコメディ感が前面に出て来てる印象。それはそれで面白かった。
本作はいろんな層にレコメンドできると思うんだけど、乙女心タンクに Empty ランプが点って久しいオバチャン達には特にオススメ!。もうね、読んだら満タンだから(効果には個人差があります)。と同時に本作を女性にレコメンドするのはコメ農家にコメを、ワイン農家にワインをレコメンドするような浅はかな行為って感覚もあるんだよね。。まあトライしてみて。もちろん若者もオッサンもね。
絵は押しがつよいかんじ。女子は花背負って出てくるし、ヤマナカのモノローグはフォントめちゃデカい。こういうワチャっとした絵面も楽しいね。諏訪さんはキラキラした押しの強さと、可憐さといった引きの強さの両方があって魅力的。#5の扉絵がカワイイ。
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「今日から始める幼なじみ 1巻」帯屋ミドリ
なにこのプレイ。めっちゃ楽しそう。
プレイとか言ってサーセン。いやでも勉強教える回のプレイ感ハンパないんですけど!
航平は楓ちゃんのニーズに応えたり応えられなかったりだけど、二人ともなんだかんだ楽しそうでなにより。機嫌の良さそうな楓ちゃんかわいい。ベースになってるアイディアがナイスで楽しい。
絵がめっちゃ良い。「ぐるぐる~」と比べると細い線を積極的に使っている印象で、ディテールまで手が入っているのにすっきり整理されていてきれい。人は全身が自然だしパーツもきれい。とくに袖のしわの入れ方が丁寧でそれらしい。あとスカートがインバーテッドだと思うんだけど、いちいちそれとわかるように描いてあってめっちゃキュート。手指はきれいなだけじゃなくて表情が感じられた。手って表情あると思うんだけど、それが良く出てるように見える。
教室でこっそり航平の名前を呼ぶ楓ちゃんは、表情、手の表情、少し丸めた背中、服のしわ、後頭部のカーブ、滑らかに背に落ちる髪、すべてが最高。
あと、最後のおまけで「学校どう?」と聞かれた時の楓ちゃんの表情が素でイイ。いかにも相手の言葉に注目している表情というか。役回りとして楓ちゃんは踏み込む側なので、こういう受け手に回った表情は珍しいよね。
幼なじみを楽しむ二人をみんなも楽しむと良いと思うよ!
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「姫乃ちゃんに恋はまだ早い 7巻」ゆずチリ
かっわ!真琴ちゃんかっわ!
バレンタインの真琴ちゃん可愛かったわー(でも、しおりちゃん登場するなり気の毒なことになってて、しかも完結しちゃったけど。。)。ちょっと特別な日の「特別な感じ」が良く出てたと思う。
もちろん姫乃ちゃんもカワイイ。「また4人で」の姫乃ちゃんは髪に大きい動きがあるの珍しくて新鮮だった。
相川姉妹みたいに瞳バッチリ睫毛ガッツリなのも、真琴ちゃんみたいな抽象度高いのも、どっちも可愛いのは強力な武器だと思う。(真琴ちゃんは猫目女子キャラとして完成されてる気がするんだよね。良く整理されてて。ひいき目が過ぎる?)
あと、りんちゃんいい子!ピアス似合う!
どのエピソードも面白可愛いくて、完結にふさわしい内容だったと思う。
一嵩君の砕け散るメガネがもう見られないと思うと寂しいね。
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「異刻メモワール 巻ノ一」 るん太
絵、良いなと思って。
つややかで黒々しい線が魅力。めっちゃ美しい。描き込んでいるコマと、そうではないコマがはっきり分かれていてメリハリが良い感じ。描き込んでるのは街とか植物とか布かな。そうではないコマは人が中心。あと繋がれた手とかね。疎なコマも密なコマも、それぞれ良くてじっと見ちゃうね。
全体に静的な空気が漂っていて、作品世界を支えているように見える。どのシーンもいちいち空気を感じる。なので、その空気が動き出す描写が印象的だった。風にそよぐカーテンとか、ゲートから垂れた布が揺れる様子とか。空気が粘性を持った流体だってことが感じられる。
内容としては、狭間の世界に迷い込んだ男の子の話。違和感と暖かさがまざりあう独特の世界がうまく表現されているように見える。
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「球詠 10巻」マウンテンプクイチ
光ちゃん先輩がエモカッコ良かった。希との勝負からの松岡との投げ合いがアツい。光ちゃん先輩は打っても投げてもかっこいいけど、個人的には打席が好きかな。
光ちゃん先輩は本作において今までいなかったキャラな気がする。他者に強く踏み込むけどブレない姿勢を見せていて、自信とか信念みたいなものが感じられてカッコ良かった。
プレーもハートもでっかい光ちゃん先輩は、新越のリトルジャイアント!
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「オレが私になるまで 4」佐藤 はつき
男だった頃の呪い。
元男という要素がアキラのメンタリティや母さんとの関係に与える影響は、今まで繰り返し描かれてきたと思うんだけど、それが友人関係にネガティブな影響を与えていた巻だった。
男だったことがネガティブなわけじゃなくて、その頃の不徳が呪いになってるんだよね。男だったことは不可抗力だしね。
この先、呪いはアキラが giver として生きたいと願うことを許すのか。